『改元を祝って』

 早いもので平成を駆け抜けたこの世界も、新しい元号を迎えようとしている。
 過去ログをさきほど確認したみたら、なんと、平成に産声をあげたこの世界が、もう間もなく10周年を迎えようとしていることが判明したのだ。いやあ驚いた。
 どうりで日々遊びほうけていた書き手がリアルで人生儘ならなくなり、やむなく馬車馬のように働けど年中金がないと嘆きつつ、日々奪われゆく自由と体力に喘鳴し、更新が今にも息の根を止めようとしているわけだ。
 まあ、きっと死ぬまで止めませんがね。
 この世界は上段、またはトップページを見る限りにおいて、主として4+αの世界から成り立っている。
 各々は完全に切り離され、ごく偶にクロスオーバーして、ほとんど足を止めているように見えるかもしれないが、この世界の更新と同じく、実は視認できないほど緩やかな速度で未だ進み続けている。
 ようするにだ、書き手の頭のなかで「end」マークは付けていないということだ。
 各世界を動かす主要な者たちが、今現在どうしているか、少し覗いてみよう。


■ナランハCF&ラナFCシリーズ■代表
東照宮「あ〜あ、もう国王陛下の会見が始まちゃうよ。そっちもカピタンから連絡来てないよね」
春日「まだだね。厳島さんから、これからシャワー浴びるってラインが来たあとで、スタンプが送られてきたのが最後だよ」
東照宮「どんなスタンプ?」
春日「これ。可愛いヒツジだよなあ、なんか意外」
(ヒツジが目を閉じて『Z』が5文字並んでいる)
東照宮「なるほど、毛だらけのキャラクターを敢えて使って見せることにより、自分のコンプレックスを克服してみせたか、あるいは、ハゲているのではなく剃っているいるのだという本人の口癖を、スタンプひとつで表してみたという……じゃなくて、寝てるじゃねえか〜!」
春日「東照宮、男は髪じゃないよ」
東照宮「キラキラふわふわロン毛の春日が言うと、説得力がないという以前に、世界中の貧毛に悩む男性諸氏に喧嘩売っているというか、ガラス細工の心臓を木っ端微塵に打ち砕くから辞めた方がいいと思うって、厳島さんも言ってるに違いないよ。 ところで、俺達は母国の改元に合わせ、ラナFCの同窓生の旧交を温めつつ、400年の国交を持つここエスパニアから、祝辞を送る国王陛下の会見をテレビ視聴しながら、とりま一杯やろうじゃないかという目的で、首都ラストロはアントニオ・ロペス通りにあるバーガーキングにやってきたわけだが、まったく連絡がないカピタンは一体何をしてるんだろうね」
春日「夕べは厳島さんと一緒に自宅でクラッシックダービーのビデオを見ていた筈だよ」
東照宮「クラッシックダービーか。どっちが勝ったんだっけ?」
春日「どの年のダービーの勝敗を言えばいいの?」
東照宮「どの年のダービー見てたのさ……。まあ、いいや。ところで、俺はラナFCを追い出されたあと、FCシェリーへ。春日さんはフェリアのレアル・ベルデへ移籍して、どっちも南方のクラブなわけじゃない? ラナは東海岸のチューファにあるっていうのに、なんで集合場所が内陸部のラストロなわけ? 飛行機移動、めっちゃ遠かったんだけど。おまけにアントニオ・ロペス通りって、あのチームのお膝元だよね」
春日「そりゃあ大人の都合で、書き手がこの10年全然チューファに足を運ぶことなく記憶が薄れてるんだけど、一昨年シャンプーメーカーの懸賞で、ラストロにタダ旅行してきたからだろうね。そして、アントニオ・ロペス通りからマンサナレス川沿いに出れば、あのチームのスタジアムがすぐ見える。でも、書き手は物語の舞台をチューファへほぼ限定していたため、あのチームについては詳細をまるで設定していなかったから、「あのチーム」としか言いようがないんだ。困ったことだね」
東照宮「つまりこれも大人の都合ってやつだね」
春日「ツッコミ厳禁だよ。でも、俺にとってはラストロは故郷も同然なんだ」
東照宮「先輩はレアル・ブランコのカンテラにいましたもんね。ちなみに俺は同じころアスル・グラナのカンテラにいました。でもその前は全国高校サッカーリーグをともに戦ってたんだよね。優勝旗の重みは忘れないよ」
春日「あー、重そうに掲げてたよね、俺達が悔し涙を飲んでる目の前で。屋久島なんて背が低いから、手届かなくて、ただジャンプしてた。あいつきっと優勝旗に触ってないと思う」
東照宮「なんだか虚しくなってきました」
春日「いいじゃないか。愚痴とか悪口ほど、酒が進む肴はないぞ」
東照宮「バーガーキングで悪酔いするのやめてくれません? っていうか、春日さんが飲んでるの、どう見てもダイエットコークなんですが」
春日「アスリートにカロリー制限は欠かせないだろ。あ、石見さんだ」
東照宮「ラインですか? なんて?」
春日「ハゲが二日酔いで出られそうにないから、お前によろしくだって」
東照宮「ハゲ……厳島さんまだ石見さん家にいたんですか? しかも二日酔いの看病までさせてんですか? っていうか、ハゲってひどくないですか?」
春日「カピタンが書いてきたんだぞ。俺はべつにハゲでもいいと思う。男はハートで勝負だ」
東照宮「だからアンタみたいなフサフサがそう言っても、嫌味にしか聞こえないと……まあ、いいや、とりあえずここまで、ラストロのバーガーキングから東照宮と春日がお送りしました」
春日「これってなんの中継だったの?」
東照宮「近況報告」
春日「俺達の近況って、悲しいぐらい中身ないんだな」

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